4月に入り、新しい新入社員を迎えられた会社も多いかと思います。新たなスタートに期待が膨らむ中で、企業は新入社員の育成に力を入れる時期でもあります。しかし、採用活動と隣り合わせで「離職」の課題を抱えておられる企業も少なくないのではないでしょうか。特に、昨今では転職市場の活性化や働き方の変化により、従業員の定着率が大きな懸念材料となっています。採用に多大なコストと時間をかけたにも関わらず、思わぬ形で社員が離職してしまう事態は、企業にとって大きな損失となり得ます。新入社員の定着を図るためには、採用後のサポート体制や働きやすい環境作りが重要になってきているのです。
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離職率の平均は14.3%
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厚生労働省が発表した「令和4年雇用動向調査結果の概況」によると、常用労働者における離職率は、
2020年 14.2%
2021年 13.9%
2022年 15.0%
という結果がでており、過去3年間の離職率の平均は「14.3%」となります。(出典:厚生労働省「令和4年雇用動向調査結果の概況/1入職と離職の推移」を参照の上統計)
大転職時代ともいわれるように人材の流出は加速しています。従業員の離職により人的リソースの不足が深刻化すれば、企業にとって大きな損失をもたらす可能性がありますが、人材確保が難しい昨今、離職防止対策が重要視されています。なかでも「優秀な人材の流出」に関しては、企業成長の鈍化を招くおそれがあり、企業競争力の低下にもつながりかねません。
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20代の離職が多い
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年代別の転職入職率は、
20代 14.7%
30代 12.7%
40代 7.7%
50代 6.9%
という結果がでており、20代の転職入職の動きが活発であることが見受けられます。
(出典厚生労働省「令和4年雇用動向調査結果の概況/3転職入職者の状況)」を参照の上統計)
「若手の早期離職」に悩まれている企業は多いかと思いますが、株式会社マイナビが、社会人1年目の新入社員に対して入社2か月目に実施した「転職意向に関する調査」によると、転職意向がある割合はなんと、68.2%にも上ります。採用コストをかけ、また育成にも力をいれようと計画していても、思っている以上に離職の判断や転職への決意に関するハードルは下がっており、早急な課題の追求と改善がなくては対策しているうちに去ってしまうということも少なくありません。
(出典:マイナビ23年4月度「中途採用・転職活動の定点調査/社会人1年目の転職意向」
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離職を決断した理由
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前職を辞めた個人的理由として
・仕事の内容に興味を持てなかった
・能力・個性・資格を生かせなかった
・職場の人間関係が好ましくなかった
・会社の将来が不安だった
・給料等収入が少なかった
・労働時間、休日等の労働条件が悪かった
という内容が、あげられています。
(出典:厚生労働省「令和4年雇用動向調査結果の概況/3転職入職者の状況)」を参照の抜粋)
離職理由には様々な理由がありますが、働き方改革が進み、ワークライフバランスを重視する人が増えているなかで、離職を決断する際の要因は複数の掛け合わせになることが考えらます。例えば、「いくらやりがいのある仕事でも、労働環境が悪ければプライベートとの両立はできない」 「給料が良くても自分のスキルにつながる成長は期待できないならキャリアを描けない」等、会社のルールを1つ変えれば良いというような単純な話ではなく、社員それぞれに働くことへのこだわりや優先度があり、会社はその社員ひとりひとりが活躍できる場であることが求められるのです。