エンゲージメントの本質とその向上に向けた鍵 |エンゲージメント向上のための要因と課題

エンゲージメントの本質を理解し、向上のために重要な要因と課題を探る。ワークエンゲージメントと従業員エンゲージメントの違い、企業が取るべき対策を解説します。

· エンゲージメント,企業文化,組織変革・改革,モチベーション,主体性・責任感

先日、お客様からのご相談の中で、「エンゲージメントって便利なようでよくわからない言葉ですよね…」というお話がありました。働きがいに関係する概念として、近年注目が増しているエンゲージメントですが、トレンドだからといって闇雲に対策をうっても、エンゲージメントの本質を理解しないままだと、空回りや逆効果を生む可能性も否めません。

厚生労働省(委託事業)の「働き方・休み方改善ポータルサイト」では、エンゲージメントには「ワークエンゲージメント」と「従業員エンゲージメント」の2種類があるとし、“組織が目指す方向性を理解し、それが個人の目指す方向性と重なることで組織に貢献しようと思えることが、仕事そのものへの誇りと同様に大切である”と説明しています。

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●ワークエンゲージメント

…仕事にやりがい(誇り)を感じ、熱心に取り組み、仕事から活力を得ている状態を指し、個人と仕事との関係に着目。

●従業員エンゲージメント

…企業などの所属組織への貢献意欲を指し、個人と組織との関係に着目。

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(出典:厚生労働省の委託事業「働き方・休み方改善ポータルサイト/「ワークエンゲージメントの向上」のページより)

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エンゲージメントを上下する「要因」

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株式会社アジャイルHRと株式会社インテージによる「A&Iエンゲージメント標準調査」では、ワークエンゲージメントに影響を及ぼす”高いスコア”の要因は、

・役割の明確さ

・仕事の意義

という結果が発表されています。「役割明確さ」においては、自分の職務や責任が何か分かっているか?という問いに対し、回答者の88.5%が肯定的に回答し、「仕事の意義」においては、回答者の82.2%が自分の仕事には意味があると回答しています。

一方で、ワークエンゲージメントに影響を及ぼす”低いスコア”の要因は、

・公正な人事評価

・キャリア形成

・上司のリーダーシップ

という結果がでており、フィードバック、教育の機会、上司からの支援が十分でない点が要因であることがわかります。仕事にやりがいを感じ、熱心に取り組み、仕事から活力を得るためには、「何を求められているのか」そして「何のためにやっているのか」が大きな動力になり、だからこそ、納得のいく評価や成長できる環境、そして信頼できる組織が必要であることが読み取れます。

(出典:「意外な姿が浮き彫りに。日本の従業員エンゲージメントの実態 ~1万人の全国調査からわかった従業員エンゲージメントが低い理由~」アジャイルHR社より)

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エンゲージメントが下がる「年代」

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同じく、株式会社アジャイルHRと株式会社インテージによる「A&Iエンゲージメント標準調査」では、20代から30代になるとともに従業員エンゲージメントが下落するという結果がでています。

とくに、「組織コミットメント」のスコアでは、2.5を平均スコアとしたときに、

20代 2.6~2.7の間

30代 2.2~2.3の間

40代 2.3~2.4の間

という結果がでており、上司や先輩からのケアや、研修機会も比較的多かった20代に対し、30代になると、一人前とみなされ、孤立した状況に感じている可能性があることが伺えます。

30代になると役職に就いたり、役割の幅も広がり、熱心に取り組むだけでは「求められること」とのイコールにはならず、仕事にやりがいを感じ、活力を得るためには、より一層「自分がどうなりたいか」「何を目指しているか」という軸がないとキャリアを具体的に描くこと が難しくなるのではないでしょうか。

(出典:「意外な姿が浮き彫りに。日本の従業員エンゲージメントの実態 ~1万人の全国調査からわかった従業員エンゲージメントが低い理由~」アジャイルHR社より)