この会社で働く理由ってなんだろう。ビジョンが見えないと働く意味もぼやけてしまう。自分らしいビジョンから働く必然性を育てるヒントを紹介します。
今回のコラムでは、ただの「理由」ではなく、「必然性」という言葉にこだわることで、働く意味を自分自身で見つけ直すプロセスに注目します。過去の経験や、ちょっとした気づきを交えながら、キャリア形成における意味づけの力や、ビジョンとの関係について、ざっくばらんにお話ししていきます。
目次
1. 働く意味が見えないときにある“ビジョンの空白”
2. 働く意味は変わる。だからこそ軸になるビジョンが必要
3. 遠くのビジョンが「今ここ」の意味を照らす
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1. 働く意味が見えないときにある“ビジョンの空白”
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働く意味がわからない。なんとなく不安。
そんな漠然とした感情の背景には、実はビジョンの空白があるのかもしれません。今の仕事に価値を感じられない、自分のキャリアに納得感を持てない。そんな状態では、「この会社で働く必然性」は見出しにくくなります。
必然性とは、誰かに与えられるものではなく、自分で意味づけていくもの。そしてその起点になるのがビジョンです。ここで言うビジョンは、目の前の目標ではなく、「どんな自分でありたいか」「何を大切にして生きたいか」といった、もっと大きく個人的な未来像です。
このビジョンに向かっていると感じられれば、今の仕事も単なる業務ではなく、自分にとって意味のある通過点になっていきます。
働くことに前向きさや納得感を持つために、まずは自分なりのビジョンを描いてみる。そこからすべてが動き出すのかもしれません。
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2. 働く意味は変わる。だからこそ軸になるビジョンが必要
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働く理由は、ライフステージや環境の変化とともに少しずつ変わっていきます。
入社当初は「新しい挑戦をしたいから」、今は「得意なことを活かせるから」、そして子育て期には「家庭と両立できるから」。
そうした変化はごく自然なことです。
ただ、その都度理由を変えながら働いていると、いつの間にか軸が見えなくなってしまうこともあります。場当たり的に目的を更新し続けていると、次第に「自分は何のために働いているのか」が分からなくなってしまう。
そんなときにこそ必要なのが、ビジョンです。
ここで言うビジョンとは、「この会社で何を成し遂げたいか」ではなく、「自分がどんな人生を歩みたいか」という視点。
なりたい姿、価値観の核。そうした軸があれば、そのときどきの働く意味も自分の中で再構築できるようになります。
多様な選択肢がある今だからこそ、ビジョンをもとに「この職場とどう関わるか」を問い続けることが、キャリアの持続可能性を支えるのだと思います。
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3. 遠くのビジョンが、“今ここ”の意味を照らす
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昔、モトクロスバイクを趣味でやっていた頃、転びやすい人とそうでない人の違いに気づいたことがあります。手前のぬかるみや水たまりばかりを気にしていると、かえって不安定になって転んでしまう。でも、遠くを見据えて「よし、行くぞ!」と走ると、不思議とハンドルが安定し、多少の揺れにも体で対応できるのです。
キャリアも、同じかもしれません。
目の前の業務や人間関係、不安や不満にばかり意識を向けていると、進むべき方向を見失いがちです。しかし、遠くのビジョンが見えていれば、多少の違和感や揺れも飲み込みながら、前を向いて進んでいくことができます。
ここでの「遠くを見る」とは、ただの理想を掲げることではありません。
「どんな人生を歩みたいのか」
「10年後に何を大切にしていたいか」
そうした問いを持ち、今という時間をその延長線上で見つめ直すことです。
たとえば、「この仕事は未来の〇〇につながる」「この経験はビジョンに近づく一歩になる」と意味づけることができれば、働く時間は単なる労働ではなく、自分の人生を前に進める時間へと変わっていきます。今この瞬間の積み重ねが、自分らしいビジョンに向かう道になる。それを実感できたとき、「この会社で働く必然性」は、自分の中に自然と育っていくのです。
エモリのつぶやき#2 は、ここまで。
働く必然性は、最初から明確にあるものではなく、自分のビジョンと“今”の経験を少しずつつなげながら育っていくものです。過去でも未来でもなく、「いまここ」に意味を見出すことが、キャリアを前向きに進める力になる。
あなた自身のビジョンと、日々の仕事が重なり合っていく。そんな働き方を、これからも応援しています。

「エモリのつぶやき」は、働く毎日の中でふと立ち止まった瞬間に浮かぶ気づきや発見を、
肩ひじ張らずに言葉にして届けるコラムです。
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企画・編集:『SIMBAUNIVERSITY』編集部
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