ビジョンとは、将来の展望や理想の姿、達成したい目標を指し、望ましい未来像を具体化したものです。そして、未来は個人や企業だけでなく、社会や環境といったあらゆる存在に広がる概念です。将来を見据えて視野を広げるとともに、私たちはキャリアや人生に真剣に向き合う必要があります。しかし、具体的なビジョンを持てず、進むべき方向が見えにくいと感じる人も多いのが現実です。
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会社のビジョンと個人のビジョン~その繋がり~
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株式会社プロジェクトデザインによる、「個人のビジョンに関するアンケート」では、自身が所属する「会社のビジョン」の内容を理解していると回答した方は41.1%。これに対して「個人のビジョン」の明確な言語化を「できている」「ややできている」と回答した方は34.6%という結果が出ています。
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■会社のビジョンの言語化された内容について(未来の会社のイメージ、経営方針等)
・内容まで理解している 41.1%
・内容までは理解していない 28.7%
・ない/わからない 30.2%
■個人のビジョンの明確なイメージと言語化について(成し遂げたいこと、ありたい姿等)
・できている 7.1%
・ややできている 27.5%
・どちらともいえない 29.2%
・できていない 36.2%
■会社のビジョンと個人のビジョンの繋がりについて
・繋がりを感じている 16.1%
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3~4割の方が会社のビジョンを理解し、個人のビジョンを明確に持っていますが、会社のビジョンと個人のビジョンの繋がりまで感じている人は全体の2割に満たないのです。会社とのビジョンのつながりを感じられないまま、この先も今の会社を選び続ける未来を、果たして描けるでしょうか?
出典:株式会社プロジェクトデザイン「【調査報告】個人のビジョンがある人は、パフォーマンスが高い傾向にあることが明らかに」より
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今の会社で自分のビジョンが描けない理由
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エン・ジャパン株式会社による「キャリアビジョン」調査」によると、現在の職場でキャリアビジョンを実現できないと思う理由について、43%の方が「希望する仕事ができない」と回答しています。
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■現在の職場でキャリアビジョンを実現できないと思う理由
・希望する仕事ができない 43%
・会社や業界の将来性が不安 37%
・ロールモデルとなる人がいない 32%
・昇給・昇格が難しい 28%
・正当な評価を受けられない 25%
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この調査は、20代・30代に行った調査ではありますが、多くの会社が若手社員の育成や離職防止に力を入れている一方で、若手社員自身は今の会社で自分のビジョンが描けないと感じています。とくに、「ロールモデルとなる人がいない」という点では、描きたくても具体的なイメージにたどり着かない大きな要因です。また、「希望する仕事」については、その内容や認識の共有に関しても見直すべきポイントではないでしょうか。
出典:エン・ジャパン株式会社「1000人の20代・30代に聞いた 「キャリアビジョン」調査」より
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具体的なビジョンを描き実行する方法
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前項で、個人のビジョンの明確なイメージと言語化が出来ている方は34.6%であると紹介しましたが、その内訳は、「できている」が7.1%、「ややできている」が27.5%。この「やや」の部分がカギなのではないでしょうか。漠然とした理想はあっても、その具体的な言語化や、ビジョンを叶えるための方法にまではたどり着かないまま日常に埋もれてしまう…。これでは会社のビジョンと繋がりを感じるかどうかの判断も難しいのでしょう。具体的なビジョンを描き、実行に移すためには、価値観・現状スキル・外部環境を深く分析し、実現するための戦略を立てる必要があります。その際、本当にありたい姿(ビジョン)を導くためには、まずは自分自身を知ることが重要です。
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■具体的なビジョンを描き、実行に移すための戦略策定
【STEP1】:価値観
自分らしさの根幹である大切な価値観を過去の経験からひも解く
【STEP2】:ビジョン
棚卸した価値観から自分の本当に在りたい姿、まずは最高のキャリアビジョンを描く
【STEP3】:現状認識 +ビジョンの最適化
現在持っている技術、スキル、経験、人間力を掘り下げ、周囲や社会への影響や価値を分析する
【STEP4】:戦略 +ビジョンの最適化
ビジョンと現状の差分を捉え、戦略を考える(会社や社会の未来予測+価値観・スキル・資産+ビジョンとのギャップ分析)
【STEP5】:アクションプラン
実行可能な計画に落とし込む
※株式会社エイチ・ティー 自律型キャリア開発プログラム「じぶん戦略」フレームワークより
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まず、「自分が何をしたいのか」を明確にすることが、「この会社で何ができるか」につながります。自分の目指す方向を明らかにすることは、キャリア自律への第一歩であり、会社と個人が共にビジョンを実現するためのアプローチとも言えるでしょう。また、本人のビジョンが明確になったときに、照らし合わせるべき会社のビジョンが不明確であれば、「会社の中で自分のビジョンを描く」ことは難しくなります。会社と個人が一方通行ではなく、互いに重なる部分を持つことこそが、双方の成功につながるのではないでしょうか。