現代の職場では、異なる価値観や働き方を持つ世代が共に働いています。いわゆる「Z世代」や「ミレニアル世代」、「ロスジェネ世代」、「バブル世代」と呼ばれる世代間では、仕事に対するアプローチや価値観に大きな違いが見られます。これらの世代は、育った時代や経験によって価値観が異なり、時には考え方や行動にギャップが生じます。若い世代は「古い」と感じる考え方を持つ上の世代に対し、上の世代は新しい価値観を理解しづらいことも。今後の職場や社会では、こうした違いを理解し、共に成長し合う方法を見つけることが重要です。
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4つの世代の特徴と背景
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職場や社会での価値観や働き方は、時代背景や世代ごとに大きく異なります。Z世代、ミレニアル世代、ロスジェネ世代、バブル世代の4つの世代は、それぞれ異なる経験や価値観を持っています。
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■Z世代の特徴(1990年代後半~2010年代生まれ)
・デジタルデバイスやSNSに囲まれて育つ
・個人主義、自由な働き方、社会的責任重視
・理想優先、充実感・多様性を重視
■ミレニアル世代の特徴(1980~1990年代生まれ)
・ITリテラシーが高く、デジタルネイティブ
・就職氷河期やリーマンショックを経験
・ゆとり教育を受け、柔軟な働き方、自分らしさ重視
■ロスジェネ世代の特徴(1970年代中盤~1980年代前半生まれ)
・就職氷河期に社会人となり、非正規雇用やキャリア停滞を経験
・忍耐力と地道な努力を重視
・組織への不信感やモチベーション低下が課題
■バブル世代の特徴(1960~1970年代前半生まれ)
・バブル期の好景気世代で出世や競争重視
・給与が高く、豊富な経験と人脈を持つ
・柔軟性に欠ける場合があり、若い世代との意識のズレが課題
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各世代の背景や特徴を理解することは、職場でのコミュニケーションや世代間の摩擦を軽減する鍵となります。まずは、これらの世代の特徴を理解することが、成長を高め合うための第一歩となるのではないでしょうか。
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世代間ギャップの具体例
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Job総研が行った「2022年 世代間ギャップ調査」によると、職場で感じる世代間ギャップは、世代ごとに異なる感覚や価値観に起因しています。「職場で世代間ギャップを感じたことがある」と答えた割合は全体の70%以上に上り、特にZ世代とバブル世代の間で最もギャップが大きいという結果が出ており、Z世代は、「上司世代の価値観が理解できない」と感じる一方、バブル世代は「若手社員の責任感の欠如」を指摘する傾向があります。
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■働き方や時間感覚の違い(対立の原因になることがある)
・Z世代:「時間外労働をしたくない」という意識が強く、効率を重視
・バブル世代:「残業が当たり前」という感覚が根強い
■コミュニケーションスタイルの違い(誤解やフラストレーションにつながる)
・Z世代:チャットツールやメールでのやり取りを好む
・バブル世代:対面や電話でのやり取りを重視この違いが
■仕事に求める価値の違い(目指す方向性が異なっている)
・Z世代:「やりがい」や「成長」を重視
・バブル世代:「安定」や「実績」を評価
出典:Job総研「2022年 世代間ギャップ調査」より
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調査結果には、「上司がやたらと会議を開きたがるが、要点がまとまっていない」というZ世代の声や、「若手社員がすぐに『辞めたい』と言うのが理解できない」というバブル世代の声も上がっています。世代間ギャップの問題は、価値観や行動様式の違いによって生じています。しかし、これを単なる問題と捉えるのではなく、異なる世代が持つ多様性を理解する機会とすることが重要です。
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異世代間のキャリア観の違いと共存のヒント
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異なる世代が職場で共存し、成長し合うには、それぞれのキャリア観を理解し、強みを活かす工夫が必要です。
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■Z世代のキャリア観
(明確な成長ビジョンと挑戦の場を提供し、成果だけでなくプロセスを評価する仕組みが必要)
・多様性を重視し、自由な働き方や社会貢献を求める。成長と短期的な成果を優先
・新技術への適応力と柔軟性が強みだが、短期的視点や組織へのコミット不足が課題
■ミレニアル世代のキャリア観
(不安を軽減し、挑戦を支援するメンター制度や多様な働き方を取り入れることが重要)
・柔軟な働き方と自己実現を重視し安定も望む。経済的不安が決断の遅れに繋がることも
・柔軟性と自己表現力が強み。経済的安定感を得られる仕組みと、自己成長を促す場の両立が求められる
■ロスジェネ世代のキャリア観
(安定を重視しすぎるのではなく、スキルの再評価やキャリアの再構築を支援するプログラムが効果的)
・就職氷河期を経験し忍耐力に優れる一方で、変化への抵抗やモチベーション低下が課題
・限られたリソースで成果を出す力が強み。柔軟なキャリア形成の選択肢と挑戦の場を増やすことが大切
■バブル世代のキャリア観
(変化に柔軟に対応できる働き方や、世代を超えた共同プロジェクトの推進がカギとなる)
・出世と安定を重視する一方で、変化に対応しづらい傾向がある。経験や人脈が強みだが、新しいアイデアへの抵抗感も
・経験値を組織内で共有し、若手との協力を促進する場を設けることが必要
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このように、世代ごとにキャリア観や特徴には違いがあります。職場では、世代間で理解し合うための具体的な対策が求められます。
各世代の強みと弱みを理解し、適切なアプローチを選ぶことが、現代のキャリア形成には欠かせません。組織では、異なる価値観や働き方を尊重し、効果的に相互作用するための柔軟な調整が必要です。そのためには、世代ごとの特徴を活かしたコミュニケーションと協働の仕組み作りが、成果を最大化するために不可欠です。行き違いが生じた場合、「わかってくれない」「わからないだろう」と世代間ギャップを理由にするのではなく、なぜそのような状態になっているのかを一つ一つ向き合わせ、ギャップを埋めることに固執せず、価値観の違いを認め、お互いの目指す形を共に実現し、成長し合える方法を見つけていくことが重要ではないでしょうか。