価値観の違い、関わり方のズレなど、Z世代とのすれ違いに悩む背景には、世代ごとの前提やスタンスの違いがあります。このコラムでは、世代間の“違い”を理解し合うための対話のヒントをひもときます。
「Z世代は扱いづらい」「何を考えているかわからない」 そんな声を聞くことは少なくありません。指導すれば嫌がられ、自由に任せれば報告がない。どこか噛み合わないその感覚の背景には、育ってきた時代や価値観の違いが潜んでいます。4コマ漫画『宇宙からきたスーパーZ人』は、Z世代に感じるギャップをユーモラスに描きながら、私たちが当然のように信じてきた“当たり前”に問いを投げかけます。果たして、Z世代は本当に「扱いづらい存在」なのでしょうか。無意識の思い込みを手放し、関係性の築き方を改めて考えてみましょう。
目次
- Z世代との関わりに“ズレ”が生まれる理由
- 4コマ漫画「宇宙からきたスーパーZ人」画像添付
- <考察1>育て方より対話の仕方が問われている
- <考察2>上下ではなく、横の関係から始まる信頼
- サンボンガワが読み解く「Z世代」との関わり方
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1. Z世代との関わりに“ズレ”が生まれる理由
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近年、現場のマネージャーや人事担当者から「Z世代との関わり方に難しさを感じる」という声をよく耳にします。「注意すると気にしすぎてしまう」「パワハラと思われないか不安」「自由に任せたら報告がない」「自分で考えず、指示を待っているように見える」など、その戸惑いの背景には、育ってきた時代や価値観の違いがあるようです。
特に、終身雇用や年功序列を前提としてきた世代にとって、「すぐに辞めてしまう」「安定よりやりがいを重視する」といったZ世代のキャリア観は、理解しづらいものかもしれません。
しかし、ギャップを感じているのは上司側だけではありません。Z世代もまた、異なる価値観を持つ世代との関わりの中で、戸惑いや違和感を抱えているはずです。だからこそ必要なのは、「自分の常識は、相手にとっての非常識かもしれない」という視点。その気づきがなければ、世代を超えた関係性はいつまでも噛み合わないままなのです。
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2. 4コマ漫画「宇宙からきたスーパーZ人」
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3. <考察1>育て方より対話の仕方が問われている
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世代が違えば、生きてきた時代背景も、受けてきた教育も異なります。「こういうもんだろ?」「こうするのが当たり前だろ?」そんな無意識の前提にとらわれていては、価値観の違いに真正面から向き合うことはできません。多様性を尊重しようと言いながら、実は「自分の型」に当てはめようとしていないか? その問いが、今あらためて私たちに突きつけられています。漫画に登場する「指導」「注意」「やらせる」という上司側のスタンスも、「それが当たり前ではない」という気づきが、Z世代との関係構築の第一歩です。
Z世代は、上意下達の指導よりも、「一緒に考える」「意見を交換する」といったフラットな関係性を重視します。「言われた通りにやる」よりも、「意味を理解し、自分の意志で選びたい」と考えるのです。したがって、育成のポイントは教え方ではなく、問われ方。漫画で描かれている「教えて?」「君はどう思う?」というやりとりは、まさにその象徴です。Z世代にとって、上からの育て方ではなく、対話の中で互いに理解を深め合う関わり方こそが、信頼構築の入り口なのです。
どのように話し、どんなスタンスで接するかが、そのまま関係性の質を決めていきます。正解を押しつけるのではなく、問い合いながら共に考える。その姿勢こそが、Z世代の内発的な動機を引き出す鍵になるのです。
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4. <考察2>上下ではなく、横の関係から始まる信頼
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漫画の終盤では、Z世代の「必要なことはするが、必要でないことはしない」というスタンスが描かれます。これは身勝手な拒絶ではなく、「意味あることに力を注ぎたい」という価値観の表れです。そしてその後、「君の星ではどうしてるの?」と上司が問いかけ、対話のキャッチボールが始まります。そこにあるのは、命令や評価ではなく、純粋な関心と尊重です。
「理解できない」 そうやって関係を閉じてしまうのではなく、自分とは違う発想や価値観をまずは受け止めてみることで、対話の入り口が生まれます。指導とは、正解を教えることではなく、意味を共に考えること。相手を“攻略”しようとするのではなく、“共に創る”という発想こそが大切です。
「学べ」ではなく、「お互いに学ぼう」とする姿勢があれば、「また意見を言ってみようかな」「こういう視点もあるかもしれません」と、Z世代も少しずつ自分の声を出せるようになっていくのではないでしょうか。
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5. サンボンガワが読み解く「Z世代」との関わり方
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個人的な感覚かもしれませんが、「Z世代」と聞いて最初に思い浮かぶのは「多様性」という言葉です。ただ、Z世代が特別に多様なのではなく、本来すべての人が多様な存在であるはず。それでも、かつては「多様であること」が歓迎されず、「こうあるべき」に合わせ、はみ出さないように、失敗しないように、と生きることが求められていた時代があったと思います。その中で育った私たちには、「多様性を受け入れる」ということ自体に、どこか不安や抵抗が残っているのかもしれません。「それだとリスクがある」「好き勝手やっていたら痛い目にあうぞ」と、つい言いたくなる自分も確かにいます。そしてそれは、Z世代との違いを前にしたとき、自分自身の“多様さ”を抑え込んできた名残でもあるように感じます。
このコラムでは、Z世代の特徴を出発点にしながらも、世代間の関係性やコミュニケーションについて考えてきました。けれど、価値観の違いやすれ違いは、Z世代に限ったことではありません。年齢や性別、立場にかかわらず、人はそれぞれ異なる考え方や「ありたい姿」を持っていて、その違いとどう向き合い、どう活かすかが、これからの組織やチームにとっての本質的なテーマなのだと思います。
Z世代が提示してくれるのは、“違っていてもいい”という前提を社会の中に持ち込むことであり、私たちにとっては、その違いとどう共にあるかを問い直すきっかけなのかもしれません。新しい考え方が常に正しくて、古いやり方が間違っているという話ではない。ただ、一方に偏るのでも、どちらかを否定するのでもなく、それぞれの価値観や視点を持ち寄って、よりよい形を探っていく。その柔らかな姿勢が、これからの時代に必要とされる“関係のつくり方”なのではないでしょうか。
4コマ革命#6は、ここまで。
次回以降も、4コマ漫画「はたらくわたし」を通じて、職場に潜むリアルな違和感と、その背景にある本質を考えていきます。

「4コマ革命」は、職場の“あるある”を起点に
その背後に潜む本質を描き出すコラムシリーズです。
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企画・編集:『SIMBAUNIVERSITY』編集部
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