エンゲージメント調査を実施し、組織や部署ごとのスコアを可視化する企業が増えています。従業員の仕事に対する意欲や組織への愛着、職場環境の状態などを把握し、組織改善や離職防止につなげるための取り組みです。しかし、エンゲージメントのスコアが高ければ、従業員はその会社で働き続けたいと思っているのでしょうか。反対に、スコアが低ければ、その人は会社に不満を抱え、離職を考えているのでしょうか。
調査によって従業員の状態が数値として見えるようになる一方で、その数値が何を意味しているのか、どこまで読み取ってよいのかは、必ずしも明確ではありません。エンゲージメントを測ることと、従業員がこの会社で働き続ける理由を理解することは、同じではありません。当コラムでは、エンゲージメント調査の測定と解釈に潜む落とし穴を整理し、数値だけでは捉えきれない、個人と会社の関係性について考えていきます。
目次
- エンゲージメントのスコアから何がわかるのか
- 「傾向」を「個人の意思」として解釈する落とし穴
- 「今の状態」から「この先の関係性」へ
- 4コマ漫画はたらくわたし「エンゲージメントでは測れないもの」
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1. エンゲージメントのスコアから何がわかるのか
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エンゲージメント調査は、従業員の意欲や組織との関係性を把握するための手段として広く活用されています。調査結果を部署別や属性別に比較することで、組織の強みや課題を発見し、職場環境の改善やマネジメント施策の検討につなげることができます。ただし、エンゲージメントという言葉が指す内容は、調査によって必ずしも同じではありません。仕事への熱意や没頭を測るものもあれば、組織への愛着や貢献意欲、働きがいなどを含むものもあります。
そのため、調査結果を読み解く際には、まず「何を測定しているのか」を理解することが欠かせません。例えば、
「仕事にやりがいを感じている」
「成長を実感できている」
「職場の人間関係に満足している」
こうした項目で良好な結果が得られた場合、その従業員が現在の仕事や職場を前向きに捉えていることは読み取れます。しかし、そこから、「今後もこの会社で働き続けたいと思っている」「会社の将来に貢献したいと考えている」とまで判断できるかは、別の問題。
仕事へのやりがいや職場への満足感は、その時点の状態を表す重要な情報です。一方で、将来どのようなキャリアを築きたいのか、その実現の場として今の会社を選びたいのかという問いには、必ずしも答えていません。測定できたことと、理解できたこと。その範囲を混同しないことが、調査結果を活用する第一歩です。

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2.「傾向」を「個人の意思」として解釈する落とし穴
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エンゲージメントと生産性、主体性、離職意向などの関係については、さまざまな研究や調査が行われています。一般的に、エンゲージメントが高い集団ほど、仕事への貢献意欲が高く、離職意向が低いといった関連が報告されています。こうした傾向は、組織の状態を把握するうえで有用な情報です。しかし、ここで注意したいのは、集団に見られる傾向が、そのまま一人ひとりの意思を説明するわけではないという点です。
例えば、仕事にやりがいを感じ、成長も実感し、人間関係にも満足している従業員がいたとします。その人は、現在の仕事に前向きに取り組みながらも、将来的には別の分野に挑戦したいと考えているかもしれません。今の会社で得た経験を活かして独立したいと思っているかもしれません。反対に、エンゲージメントが低い状態であっても、会社の事業や将来性に可能性を感じ、今後も働き続けたいと考えている人もいるでしょう。
つまり、スコアの高低だけで、個人の将来の選択を判断することはできません。また、組織全体の平均スコアが良好であっても、その内側には異なる価値観や希望を持つ従業員が存在しています。平均値としては同じスコアであっても、そこに至る背景や、今後のキャリアに対する考え方は一人ひとり異なります。調査結果を組織改善に活用することと、数値によって個人の意思まで理解したつもりになることは、区別する必要があるのです。

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3. 「今の状態」から「この先の関係性」へ
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では、エンゲージメント調査で把握した情報を、どのように従業員と会社のより良い関係づくりにつなげていけばよいのでしょうか。重要なのは、現在の状態を把握することに加えて、個人が目指す将来と、会社が目指す方向性とのつながりに目を向けることです。
例えば、仕事にやりがいを感じている従業員に対して、「その仕事を通じて、今後どのような経験を積みたいのか」「その経験は、本人が目指す将来とどうつながっているのか」といった視点を持つことが考えられます。会社への愛着があるかどうかだけでなく、その会社で働くことが、本人にとってどのような意味を持っているのかを理解することが、個人と会社の持続的な関係づくりにつながるのではないでしょうか。
もちろん、すべての従業員が明確な将来像を持っているわけではありません。また、個人の希望と会社の方向性が、常に一致するとも限りません。だからこそ、会社が一方的に「働き続けてほしい」と期待するのではなく、個人にとっても「ここで働く意味がある」と感じられる接点を探すことが重要になります。
エンゲージメント調査が捉える現在の状態と、個人が描く将来、そして会社が目指す未来。
これらを切り離さずに考えることで、調査結果は単なる組織の健康状態を確認する指標から、個人と会社の関係性を考えるための手がかりへと広がっていきます。エンゲージメントのスコアが高いか低いか。それだけで安心したり、問題視したりするのではなく、その数値の先にいる一人ひとりが、この会社で働くことにどのような意味を見いだしているのか。そこに目を向けることが、これからの組織づくりに求められる視点ではないでしょうか。

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4コマ漫画はたらくわたし「エンゲージメントでは測れないもの」
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企画・編集:『SIMBAUNIVERSITY』編集部
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