金融・経営実務誌『近代セールス』2025年11月1日号にて、当社・中川がコラムと4コマ漫画を寄稿しました。連載企画「中小企業支援の現場から」では、“Z世代の定着と育成”をテーマに、世代論に頼らない若手支援のあり方を取り上げています。
本コラムでは、その寄稿内容をベースに、金融業界に限らず幅広い方々にもお読みいただけるよう、構成を調整してお届けします。
「最近の若手はすぐ辞める」「Z世代の育て方がわからない」といった声に対し、“世代”ではなく「個人の必然性」という視点から、若手が辞めない理由を捉え直すヒントをお伝えします。人事・マネジメントに関わる方々にとって、現場で役立つ実感と視点を提供する内容です。
目次
- 近代セールス「中小企業支援の現場から」寄稿記事
- 若手定着に悩む現場と人事施策のすれ違い
- 「世代論」に潜む思い込み
- 「若手だから」で片付けないために
- “個”に立ち返る逆算の視点
- 4コマ漫画はたらくわたし「宇宙から来たスーパーZ人」

※紙面の画像および寄稿記事内容は、発行元の近代セールス社様のご許可をいただき掲載しております。
- 媒体名:近代セールス(2025年11月1日号)
- 掲載日:2025年10月20日(月)
- コーナー:オピニオン「中小企業支援の現場から」
- タイトル:「Z世代を定着させるために 若手世代と一括りにせず“個”を見つめてみよう」
- 発行元:近代セールス社
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若手定着に悩む現場と人事施策のすれ違い
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「最近の若手はすぐ辞める」「Z世代の育て方がわからない」――中小企業の経営者からよく聞く声です。若手の早期離職は、資金繰りや事業戦略の先にある“会社の成長”と直結する、経営課題の核心です。
いずれのケースも、「このままでは若手が育たず将来の事業に不安がある」という懸念に行きつくことが多くあります。処遇改善をしても退職は止まらず、研修で満足度を得ても行動変容につながらない――そんな人事施策の限界に直面しているのです。
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「世代論」に潜む思い込み
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近年、「Z世代」という言葉を頻繁に耳にします。世代間の違いが盛んに語られ、現場のマネジメントを難しくしています。
たとえばZ世代はSNSを当然の環境として育ち、共感や意味を重視するとされます。ミレニアル世代はゆとり教育を受け、挑戦と安定の両立を求めます。ロスジェネ世代は就職氷河期で自己防衛を身につけ、バブル世代は終身雇用を前提に忠誠心を重んじてきました。
こうした解釈は部分的には的を射ているものの、一人ひとりを見ればその限りではありません。時代や教育が違えば価値観が異なるのは当然であり、Z世代でも主体的な人はいますし、バブル世代でも革新的な人はいます。若手は難しい存在なのではなく、自分と異なる価値観だから分かりにくいだけなのです。大切なのは、世代で判断するレッテルや一括りのカテゴライズではなく、「価値観の違い」を認識することです。
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「若手だから」で片付けないために
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若手社員向けの研修や、それを支えるリーダー層への育成プログラムは、有効な施策の一つです。もちろん必要な取り組みではありますが、それだけでは「若手」という枠組みにとどまり、目の前で悩む“個”の実態を見落とすおそれがあります。
さらに「採用したのに定着しない」「育てているのに成長しない」――これは会社側の見え方にすぎません。一方で若手の本音には、「ここでは成長できない」「挑戦の場がない」といった思いが潜んでいます。
「なんとかせねば」と画一的な施策に走る前に、まずは一人ひとりに「なぜだろう?」という興味と理解を向けることから始めたいところです。
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“個”に立ち返る逆算の視点
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定着の核心は、「個」を見る視点にあります。若手という枠組みで「辞めさせない仕組み」を探すのではなく、それぞれが持つ「ここで働く必然性」こそが、辞めない理由の本質なのです。そして、その実現にはアプローチの順番がカギとなります。社員一人ひとりの『なぜこの職場を選び続けているのか』を、私たちは本当に理解できているでしょうか。
多くの企業では対策を講じる際、「世代特徴→若手(枠)への解釈→施策」という流れで進めがちですが、そこには一括りのレッテルやバイアスの落とし穴が潜んでいます。真の定着を実現するためには、「本人(個)の必然性の把握→施策」という、“個”に立ち返る逆算の視点こそが不可欠ではないでしょうか。
対策の答えは、現場にこそあるのです。
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4コマ漫画はたらくわたし「宇宙から来たスーパーZ人」
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企画・編集:『SIMBAUNIVERSITY』編集部
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